くちびるの端に

サラダ記念日

先日7/6、齢27にして社会人初の有休を行使した。

 

午前中だけ労働し、昼餉は自宅でトマトとオクラを刻んで素麺と頂く。出汁の中にすーっとしたトマトの酸味が際立ち、思わぬ発見をしたようで、ゆったりとした有休の始まりに胸の内で燥いだ。

然し、固より休みが少ない故につい予定を入れてしまいがちであるのは私の悪い癖で、持病の薬のことで15時に六本木のクリニックを予約してあり、梅雨時の素麺の爽快さもそこそこにサッと器を洗って家を出た。

 

 

雨の六本木は割合好きである。予定通り処方箋を受け取り、薬を受け取り、ここまで来て帰るのも、と、六本木まで来て暇つぶしの方略がこれしか思いつかないものかと我ながら矮小にも思えるが、駅近くのブックファーストに立ち寄った。

 

ここは大き過ぎず狭過ぎず、かつ本の魅せ方が丁寧で、気に入っている書店の一つである。

岩波文庫を何冊か、向田邦子のエッセイ、伊勢物語を手に取って。 何か足らぬ気がして物色していると、常々示唆的な友人に以前から薦められていた俵万智作『サラダ記念日』を見つけた。表題作の瑞々しさは勿論だが、作者の可愛らしい名前からはかけ離れた情念の迸る作品群に引き込まれ、持ち帰った後に7/6がサラダ記念日と知る。